「……話す覚悟は出来たかしら?」 「………………殺セ」 千晶の前に引き立てられたケルベロスは、その樹木のごとき巨大な手に首根っこを押さえつけられていた。 「ニヒロの総帥はどうしたの?」 「……知ラヌ」 「ならば、カグツチ塔のこんな処まで斥候に来る必要はないわね」 少女は高慢そうな目をわずかに細め、白い獣を見下ろしている。 ケルベロスにとっては、全くの不覚であった。 …………マルデ肉食獣ノ瞳ダナ。 冷酷にそして気高い貌で見下ろしてくる少女を、ケルベロスは自分以上の化け物を見る目で見下ろす。 黄金の瞳。白銀の髪。もう人ではないその姿。 どこか、いつか見た人修羅の姿を連想させる。 「私の軍門に下るなら、命を助けてあげてもいいわよ?ちょうど犬が欲しいと思っていたの」 ふ、と無邪気な冗談で戯れるあたりはまだ少女という訳か。 「ねぇ、貴方。私の犬になりなさいよ?」 「…………殺セ」 「惜しいわ」 「我ヲ侮辱スルカ!」 「シジマなのに怒っちゃいけないでしょう?」 「モウ、ニヒロ機構ハ崩壊シタ。氷川ハ死ニ、我等ノ悲願ハ潰エタ! ……コレデヨカロウ、女。殺スガイイ」 「そう。それなら、もう知っていたわ」 「ナンダト……?」 「だから言ったでしょう?犬が欲しいの。私」 千晶はケルベロスの首の拘束を外した。 押し付けられていた首を開放され、ぶるりと首を振って、ケルベロスは千晶を見上げた。 「分カラン女ダ」 「単純なことよ。天使どもに飽きただけ」 千晶はケルベロスの大きな前足を取り上げ、肉球を指先で押して爪を押し出してみたりする。 押されてにょっきりと顔を出す爪。 鋭すぎるそれに顔を寄せた少女に、慌ててケルベロスは前足を退いた。 「……危ナイゾ」 「少しの傷くらい、気にしないわ」 だから、大丈夫と。 指で無理矢理押し出させた爪を、黒い唇の間から覗く赤い舌がちろりと舐める。 わざと爪先で唇を押せば、赤い血の珠が柔らかく膨らんで。 舐め取る舌が赤く染まる。 「……女」 「なに?」 「何ヲ、考エテイル」 「貴方も悪魔なら分かるでしょう?ケルベロス」 千晶の頬を、ケルベロスがざらりとした舌で舐めた。 ひやりと頬を冷やすその感触に、千晶はくすくすと淫蕩に笑う。 「……子供ノ戯レニ付キアウ程暇デハナイ」 「子供じゃないわよ、もう」 くすりと笑うと千晶はワンピースを脱ぎ捨てた。下着は、身に着けられていない。 ケルベロスの目の前に、少女の甘い肌が惜しげもなく晒される。 腕から伸びるゴズテンノウの残骸は、黒々と肌を這い大きくはない胸に食い込む。 その姿のあどけなくも淫猥なこと。 「……これで私も獣と同じ。文句ないでしょう?」 仰向けにごろりと寝そべり、千晶は獣を招いた。 そして、招きに応じた獣の巨大な顎を取り、そっと口付ける。 顎骨の巨大さに合った巨大な舌が千晶の口腔に収まるわけもなく、必然的に空で舐めあう形となる。 まだ千晶の舌に残る血の味は、獣の口に酷く甘い。 「あ……」 きつい獣の匂いにかすかな目眩。血と肉を裂きつづけた牙の残虐な匂いに満たされる。 舌の一部を口腔に招くのがやっと。 それでも、ざらついた舌の感触に煽られ、千晶の金の瞳が欲情に溶ける。 「さあ、いらっしゃい……」 鬣に腕を埋め、千晶は甘く獣を呼んだ。 獣はその白銀の毛皮の中に少女を抱きこみ、甘やかな肌を味わう。 獣特有のざらついた舌が首筋を鎖骨をぴちゃりと舐める。 同時に、のしかかった腹の毛皮が、少女の熟れ切らぬ性器を、やわやわと筆先でくすぐるように刺激する。 「はぁ……ん……」 千晶が甘い声で鳴いた。 クリトリスを柔らかすぎる筆で撫で上げるような感触。 ケルベロスはそう大きくはない胸をじっとりと舐め上げつつ、腹をゆっくりと擦り付ける。 それだけでびくりと仰け反って、千晶は甘い声と蜂蜜の色の瞳で次を強請った。 待ちわびる胸の先端を舌先でねっとりと舐めた。 獣の愛撫に技巧などないが、人にはありえぬその感触だけで少女は身悶える。 そのとき、するりと、何か冷たいものが千晶の尻を撫でた。 「……っえっ!?」 不意に毛皮の隙間から進入した「それ」は、熱を持って反り返った千晶の花芯にするりと絡みつく。 敏感な部分に冷たい鱗が密着して、ぞろり、と撫でた。 密着した毛皮は溢れる蜜を含んでじっとりと重いほどで、その柔らかな感触の狭間を冷たく硬い鱗がゆっくりと這い回る。 「あ……、……ああ……ん、やぁ……」 ケルベロスはそ知らぬ顔で、胸の先端を猫のように舐めている。 だが、その蛇の尾は、毛皮の中で少女を辱めようと、ゆるりゆるりと花びらを掻き分け、女の部分に入り込む。 ケルベロスの耳を千晶の爪が掻く。 そのせめてもの抵抗をぴんとわずかな動きではじき返し、器用な尾でまたぞろりと、敏感すぎる肌を掻き分けた。 「あぁ……!」 一声啼いて、脱力した千晶の膣に入り込んでいた尾の先端を抜いた。 濡れててらりと光る尾を得意げに振り上げると、ケルベロスは千晶の上から身を起こした。 「……満足シタカ?」 「全然。足りないわよ、こんなんじゃ」 赤い舌が硬質の唇を舐めて誘う。 挑戦的な目つきで見上げてくる少女を見下ろし、ケルベロスは少女に『次』を促す。 千晶は嬉々として、そそり立つ巨獣の性器を口に含んだ。 ヒトとは違うその威容は、とても口などに収まるようなものではない。 舌を使って舐め上げながら両手で扱いて刺激を与える。 達したばかりの余韻を色濃く残す顔で、這うようにして奉仕する少女に、ケルベロスはまたするりと尾を伸ばす。 「……いやらしいわね」 咎めるような声を無視して、絡み付いた尾が腿を開かせる。 そしてそのまま、千晶の閉じた入り口へ、ケルベロスは冷たく細い先端を滑り込ませた。 たっぷりと濡れたそれはつるりと中に入り込むと、ゆっくりと中を探る。 「あ、は……」 千晶の愛撫の手が止まった。 内壁をゆっくりと這い登る鱗の感触。 耐えるように体を竦める。 「……コノ程度デ根ヲ上ゲテモラッテハ困ルナ、女」 ケルベロスが人間の倍近くある性器を千晶の頬に擦り付けた。 甘く蕩けた表情を透明な粘液で汚す。 欲情の証を先端から滴らせるそれは、その絶対の少女を犯そうと、充血して脈打ちつつ待ち侘びている。 「雌モオラヌノニ我ヲ煽ッタノハ、女、貴様デハナイカ……責任ハ取ッテモラウゾ……」 膣の中から尾がずるりと引き出され、また、淫靡な音を立てて押し込まれた。 「あぁ……、んっ……!」 鱗持つ尾が中でにちにちと音を立ててうねる。 敏感な内部の突起を蛇腹の鱗が擦り上げ、撫で、刺激する。 その度に、千晶がひっと喉で啼いては、性器ですらないものを淫らに締め上げた。 「……サア」 尾を止めて促すと、再び千晶が獣の股に顔を埋める。 紅潮した淫蕩な表情で、千晶が再びねっとりと愛撫を始めると、再び花園の奥が蹂躙される。 ずるり、ずるりと奥を目指す尾は、快楽で少女を煽りながらゆっくりとその内部を犯した。 震える手で獣を煽りながら、切なげに眉を寄せた千晶が獣の性器を唇で舌で愛撫する。 だがそれも、戯れに尾が奥を突き上げるたび、官能の声を上げて止まる。 悠大な獣の性器に舌で唾液を擦り付け、唇の粘膜で食めば、多量の粘液がどくりと溢れ出る。 それで両手を濡らし扱き上げる淫蕩な少女を獣は満足げに見つめた。 奉仕への褒美代わりに、ずるりと尾を引き抜いて、千晶の尻にねじ込んだ。 「い、いやっ! お尻は駄目っ!!」 だがそんな言葉を聴くはずも啼く、ケルベロスは長い尾を滑り込ませて、ヒトには不可能な程の深域を犯す。 尾の半ばほどまでを内部に呑み込んだ少女は、声にならぬ感覚に怯え、しがみついてくる。 「いや……こんなの、無理ッ……」 いっそ苦しげな声に色欲を煽られ。 ケルベロスは少女を床へ引き倒すと、じっとりと濡れた性器を少女の下腹へ擦りつけた。 「んあっ……! あ……あぁ……ん」 尾は相変わらず奥でうねり。巨大な肉塊でクリトリスを花びらを激しく擦り上げられる。 前と後ろを同時に刺激される凄まじいまでの快楽に、千晶がひくひくと痙攣した。 ケルベロスは低く唸ると、下腹を音を立てて擦り上げた。 獣の感じる快楽は同時に尾を震わせ、そのたびに千晶が声を上げる。 獣の白銀の体に、黒い手が、白い足が、いっそ淫らに絡みつく。 じゅく、じゅく、と、濡れそぼった音を立てながら、獣と人の下肢が淫欲のままに擦り合わせられた。 獣の腰を抱く千晶の華奢な足は、半ば以上を白い毛皮に埋もれさせて、纏わりつくような柔らかな愛撫を受けていた。 「や、あ……、……気持ち、い……」 「当タリ前ダ」 倣岸な答えを返した獣は、千晶の尻に埋めた尾を激しくくねらせる。 かつてないほどの奥処を抉っていた尾が一息に引き抜かれ、呆気なく千晶が二度目の絶頂に達する。 くったりと荒く息を吐く千晶を、ケルベロスはやすやすと裏返し。 蜜を垂らす花びらの奥へ、巨大な逸物をゆっくりと突き立てていく。 「あ、だめ……、そんなの、入る訳ないわよ……」 背中に感じる濡れた毛皮の感触にぞくりとして、千晶が小さな声で喘いだ。 濡れきった筈の其処を、それでもきつそうに進入してくる獣の性器。 人の身でありながら獣の姿勢で魔獣のオスに犯される、倒錯した快楽が脳髄を灼く。 ぎっちりと咥え込み、其処の全ての快楽を刺激される感触は痛いほどで。 ケダモノの性器の人ならぬ形状に戸惑い、拒絶しようとする箇所をゆっくりと宥めて慣らさせては奥へと進む。 「あぁ…………!!」 声もなく喘ぐ千晶の唇の端を、唾液が一筋伝い落ちた。 甘いそれを乱暴に舐めて、魔獣は満足げに唸る。 高潔で気高く振舞う淫乱な少女を、卑しい獣の欲情で思うさま蹂躙する。 それも、憎きまだ希望持つ女を。 より猛ろうというものだ。この供餐には。 「ねぇ……お尻、お尻も、一緒に、して……」 「ナラバ、自分デ開ケ」 獣がずるりと逸物を引き抜くと、千晶は仰向けになって脚を開き、自ら腰を上げた。 震えつつ開閉を繰り返す花園に、再び獣の太い肉塊が押し込まれる。 そして、細い指先で肉を割って開かれた尻の穴に、太い尾をずぶりと挿入した。 「あぁん!!太い、太いぃっ!!」 柔らかい毛が、クリトリスをざわざわと撫で上げ、膣を限界まで押し開いた逸物がじゅくじゅくと前後する。 そして蛇の尾が直腸のさらに奥までをうねりながら突き上げた。 白い獣に合わせて腰を振りながら、千晶は自分の胸を揉みしだき、乳首をつねり上げる。 「あぁ……、中で、中で、×××、擦れてるの……っ!」 ケルベロスは突き上げながら千晶の腰をより深くへと引き寄せる。 喉を詰まらせたような喘ぎで卑語を叫ぶ少女からは日頃の気高さはすでに窺えない。 髪を振りたて苦痛と紙一重の快楽に喘ぐ少女を、獣はざらつく舌で煽った。 「わたし……ケモノに、お尻とオ×××ぐちょぐちょ犯されて、すごく感じてるのっ!」 太く長い獣の性器を根元まで飲み込み、千晶はもはや快楽かどうか判じがたい狂気の感覚に我を忘れた。 淫靡な音が満ちる世界で、視界ばかりが白い。 善がり狂う声を上げて、千晶は獣と腰を振った。 掠れた唸りは猛る獣の欲情を露わに。 突き上げて低く吼える度に痙攣する女体は、大量の精液を浴びて、ひどく満足げに堕ちた。 「……どう。飼われる気になった?」 「尻ト×××ヲ自ラ差出シ、獣ニ犯サレテヨガル雌犬ニカ」 「そうよ。天使どもには飽きたって言ったでしょう?」 「……天使ニ同情スル」 ケルベロスの精液を胎内に受けた千晶は、膣から重く垂れる白濁を手で掬った。 唇を寄せれば、人とは違う獣の匂い。 至極満足げに笑みを浮かべてそれを舐める少女を、恐ろしい、と、獣は思う。 恭順の印に、ケルベロスが汚れた千晶の肌を舐めた。 それに身を任せながら、少女はくすりと笑い、こう言ったのだ。 「煽られそうだわ、また……コンゴトモヨロシク、ね?」 ……末恐ロシイコトダナ。 己の精の味に顔をしかめつつ、さりげなく甘い肌で口直し。 悪魔に堕ちても魅力的な肉と血の味。 魅入られて堕ちたのは己の方かも知れず。 だが少女は知ってか知らずか、くすりと笑みを浮かべるばかり。 お気に入りの獣に、指を絡めて。 |